大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和33(あ)32 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人佐藤米一の上告趣意第一点について。

なるほど、所論引用の当裁判所判例は、刑法一七七条にいわゆる暴行脅迫は相手

方の抗拒を著しく困難ならしめる程度のものであることを以つて足りると判示して

いる。しかし、その暴行または脅迫の行為は、単にそれのみを取り上げて観察すれ

ば右の程度には達しないと認められるようなものであつても、その相手方の年令、

性別、素行、経歴等やそれがなされた時間、場所の四囲の環境その他具体的事情の

如何と相伴つて、相手方の抗拒を不能にし又はこれを著しく困難ならしめるもので

あれば足りると解すべきである。そして原判決の判示するところも、第一審判決の

認定した被告人等三名の判示午後八時頃から翌午前二時頃までに亘る一連の行動に

よれば、被告人等三名が原判決が判示するような善良純真な少女である本件被害者

に対し、深夜他に人気のない判示校庭、附近の公園等の環境を背景にして、同女の

身辺につきまとつてその帰宅を妨げるため逮捕監禁の手段にも等しい判示暴行行為

をなしていると同時に、被告人等三名の集団的な威力により場合によつては相手方

の生命身体等に危害を加えるかも知れないという脅迫的態度を暗示して脅迫した事

実を認めることができ、本件被害者はこの暴行脅迫によつて恐怖のあまり抗拒不能

に陥りついに第一審判決認定のような姦淫の被害を受けるに至つたものと認められ

るとした趣旨である。されば、原判決の判示には、所論のように、強姦罪における

暴行脅迫が相手方の抗拒を著しく困難ならしめる程度のものでなくともよいとの挙

示の判例に相反する判断は少しも示されていないのである。所論は、結局、原判決

の証拠の取捨選択、証拠の価値判断を非難し、前記の暴行および脅迫によつて本件

被害者が抗拒不能に陥つたとの原判決の認定を論難するものであつて、事実誤認の

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主張に帰し上告適法の理由とならない。

同第二、第三点は、いずれも事実誤認を前提とする法令違反、同第四点は事実誤

認、同第五点は量刑不当の主張であつて、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当ら

ない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三三年六月六日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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